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 シロアリ、腐り

「茶の間のある家」の解体工事が始まりました。
設計の初期段階に天井板を外させてもらって、屋根裏を覗き、畳を上げさせてもらって、基礎周りの様子をみせてもらっていましたが、やはり解体してみると、いつものように、問題点が出てきました。
古い住宅です。昭和43年の棟札が出てきました。48年前の建物です。
耐震のことはもちろんですが、いろんなところが今の造り方と違っています。良いところもありますが、耐久性についてはほとんど考えられていないようです。

屋根の野地板というかザラ板は、今では合板ですが、一応無垢板です。整った板ではないですが、まだしっかりしています。
しかし、元々が和室だったのでしょう、使っている柱が細いために、廻縁取り付き部分の柱の欠き込みが、結構大きく、構造的には心配です。

設計段階で、床下を覗かせてもらった時は、思いの他、痛みが少ないように見えたのですが、やはりかなり痛んでいました。
確認できた1階の和室周りでは、見えていた基礎高さは、地面から15〜20センチくらいはあったのですが、敷地が狭く外壁状況の確認できていない部分では、基礎の立ち上がりも低く、ひどい状態で、柱の根元は無くなっていました。
風通しも悪く、湿った土がほとんど土台近くまで上がってきています。これでは、土台も柱も腐ってしまいますね。

お隣がリフォームした時に敷地境界にコンクリート土間を作っていて、そこの高さは、こちらの床下換気口より高く、ほとんど土台の高さ。
土間コンクリートだったので、土と違って、湿気は少なかったのでしょうか、土台の痛みは少ないようですが、この先は、土台や柱の保証ができません。
お風呂周りを増築したらしい部分では、柱にシロアリにやられた痕が見つかり、
内部も水回り室の間仕切りの土台が、ひどく傷んていました。床下は土のままで、基礎はあっても低いのは問題だったようです。どこの現場でもそうですが、水回りは痛みがひどいですね。
   
そして、基礎のコンクリートも無筋のようです。48年も前では、だいたいそんなものかもしれません。
土台アンカーの位置には、クラックが確認されました。

柱の取り替えはもちろんですが、今後、長く住んでいただくには、基礎についても検討が必要です。予算とともに、施主への説明、今後の計画への再検討が必要です。
「茶の間のある家」の事前調査の時の様子はこちらから。
最近の木造スケルトンリフォームの様子はこちら「耐震+省エネリフォームの家」
 

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 シロアリ

古い木造住宅の場合、心配することの一つがシロアリです。
少し前に、木材腐朽菌によって、痛められた柱や土台の様子をお伝えしましたが、この写真は、シロアリによる被害の様子です。
被害の多いのは、湿気の上がりやすい土台や柱の足元周りです。
法規上で、一般的には、地面より1mの高さまでは防蟻処理をすることが求められているのは、そのためです。
この現場でも、造られた当初は、防蟻処理が施されていたのでしょうが、多くの防蟻剤は、そう長い間効いているものではありません。
かつてのクレオソートなどのかなり有害な薬剤では、まだ長期に効いたのかもしれませんが、最近の防蟻剤は、有効期限は5年程度ともいわれています。
20年、30年という築年数の住宅では、防蟻性能はほとんどなくなっているともいえますから、湿気のつきやすい状態での土台や柱足元は、かなり危険な状態に置かれているということです。
では、足元ばかりを気にしていれば良いのかというと、こんな例もあります。

これは2階の床を支えたり、地震力を受ける梁(はり)とか胴差(どうざし)と言われる木材です。つまり、2階の床下にある材料で、地面からは3m以上高いところにあります。
太い梁なんですが、シロアリによって上半分くらいがスカスカで、指を突っ込むとズボっと入るくらいでした。これでは大切な強度が足りなくなっています。地震や強風の時など、とても心配です。
この現場では、1階部分が少し出っ張っていたので、小さな屋根が付いていたのですが、屋根の作り方が悪かったのでしょう、雨漏りによって木材が湿った状態となり、シロアリの被害を受けたようです。
イエシロアリは水分を運ぶので、上階でも注意が必要と言われていますが、最近では水分を必要としない外来のアメリカカンザイシロアリの生息範囲も広がっているようです。一層の注意が必要なようです。
防蟻剤は、ゆっくりと揮発するものが多いです。
それはいつか再塗布が必要となり、有効期限が設けられています。
隠された壁の中で、効果がなくなるようでは、困ります。
ギルドでは、ヒバオイルなどの自然由来の防蟻剤を使っていましたが、ホウ酸の防蟻剤が認定されたことで、そちらを使うようにしています。
ホウ酸防蟻剤は、人への害はなく、揮発することがない防蟻剤です。