05
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 上棟と中間検査前の確認

お手伝いしている老人ホームが上棟して、屋根の野地板が張られ構造金物がつくという予定で、金物取り付け状況と中間検査の予定確認のために、構造設計者、元請設計事務所と共に、現場へ伺ってきました。

規模は大きいですが、木造平屋のこの建物でも、構造で検査することは、住宅と変わりません。
基礎と土台をつなぐアンカー、柱や梁に着いた引き抜き防止の金物、筋違の固定金物、屋根の水平剛性を確保するための火打金物や構造用合板の取り付け状況の確認です。
各部に使われている金物類の強度や取付位置・方法が、構造設計図どおりであるか、合板を止めている釘の仕様やピッチに間違いはないかなどを、細かく確認します。

外壁部の基礎部分と室内の間仕切り壁との取り合い部分で、高さの違いは、室内の基礎は、床仕上がりより低くするために下がっています。
外壁は、地面からの湿気などから土台を守るために高さが必要ですが、室内は、地面レベルからできるだけ床を上げずに、バリアフリーを実現するために下げたものです。
高さの段差とは別に、基礎コンクリートの側面にも段ができています。
これは、断熱材を必要とする外壁基礎と室内基礎の仕上げの厚みを調整するための段差です。

基礎断熱をするこの現場では、床下に気密性を作ることが重要です。
土台と基礎コンクリートの間に隙間ができては、外部との気密性が保てません。写真からは、基礎コンクリートと土台の間に、気密のためのパッキンが入っている様子がわかります。

ホームの個室の窓がこの柱間に開いてきます。
外構工事が進めば、竹林が美しく見えてきそうです。

実は、写真を見てお分かりかと思いますが、金物の取り付け工事が遅れており、この日の検査は、十分にできませんでした。構造設計者には申し訳ないのですが、再検査をしなくてはなりません。

 

 

09
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 構造補強

「茶の間のある家_リフォーム」では、基礎の打ち直しが完了して、木造本体の補強工事に移りました。
腐っていた柱や白アリにやられていた土台などの取り替えを終え、新規土台、新規柱、つないだ部分などの構造的な補強が始まりました。

基本的には、構造用の金物で接合部を補強していきますが、柱や梁に添え木をし、外周部を構造用合板によって、面的に固めることで強度を増していきます。
 
 
 
 
傷んでしまっていた既存構造体の取り替え補強に加えて、改めて構造計算をしなおしたことで、必要とされつ耐震構造のための金物も追加されていきます。
上右の基礎と柱をつなぐホールダウン金物は、地震力を受ける壁から伝わる力を柱と基礎で支えるためのものです。

外壁部分は、構造用合板で包み込んで、耐震補強するのですが、部分的にはこの写真のように、筋違(斜めの木材)も加えて補強しています。
今回のリフォームでは、間取りも変えています。
部分的に、柱を抜いている部分もあり、新たに柱を加えたり、梁という部材を追加して、構造的な強度を増していきます。


既存の構造体に新しい梁(床を支える構造部材)を加えるにも、構造用の金物を利用していきます。

写真は、床を支える梁の上に打ち付ける合板です。
構造用の合板の厚いものを、基準の釘とピッチで打固めることで、床が地震の時にも地震の力を抑え、地震の力が分散するようにします。水平剛性を作るといいます。
2階でも、一部間取りを変えています。
やはり、既存を補強しながら、新しい構造材を追加していきます。

構造体は、随分と固まってきましたが、まだ外周部に構造用合板を打ち付けなければなりません。
構造用合板の止め方について、現場に確認して、新たな指示も出し、構造の確認をしてきました。
これまでの「茶の間のある家_リフォーム」の現場の様子はこちらから
 
 
 
 

05
25
 木造住宅のリフォーム 既存部分の構造補強

木造住宅の場合は、間取りの変更のために柱の位置を変えたりすることは、案外出来るもので、その分、構造補強をするという話を前回(木造住宅のリフォーム。間仕切り変更、構造補強)しました。
最近の木造住宅のリフォームで、耐震補強を主目的とするリフォームが多くなったように、スケルトンリフォーム(内部だけでも構造体だけのような状態にして行うリフォーム)をする場合などは、まず耐震のお話が出てきます。
2000年の法改正(建設省告示第1460号)で、木造の耐震基準はかなり変わりました。そのため、それ以前のものは、現在の基準からすれば、問題を抱えています。
我々の経験では、2000年以後のものでも、経験不足からか、施工方法の間違いなどで、耐震性能が不足する住宅が、リフォームのときに見付られました。安心できそうなのは、工務店さんの経験値が上がった、ここ数年に建てられたものくらいかもしれません。
さらに、今回の熊本地震からは、新しく建てられた住宅ですら、倒壊の問題が指摘されています。

今回のスケルトンリフォームでは、外壁もほとんど撤去していますので、耐震壁の補強は十分にできています。
外壁面では、構造用合板と筋交いの両方を使っています。
既存にも筋交いは、少ないとはいえ入っていましたが、 現在の構造の基準からすると固定の仕方も脆弱なもので、ほとんどで取替え、補強のし直しとなりました。

 
これは、2階の床下を見上げている写真で、柱と筋交いは専用金物で止めないといけません。
2階の床には、24ミリの厚い構造用合板を使い、耐震性を高めています。
グレーに見えるのは床暖房のために入れた断熱材です。
 

 
この写真は、柱の足元の様子で、同じく専用金物で筋交いが止められています。
 
 
 
 
 

 
耐力壁となる外壁に使う構造用合板は、止め方も決まりがあります。
使う釘や、釘のピッチが強度を決めるので、基準を守らないといけません。

 
 
 
阪神大震災では、柱が基礎から引き抜かれたことが、倒壊の大きな原因になっていたので、2000年の改正では、地震の力を強く受ける柱は、基礎とボルト(ホールダウン金物)で緊結することが必要となりました。
この建物では、後付けとはなりますが、ホールダウン金物を追加することで、地震時に浮き上がりそうな柱を、基礎に固定しています。
 
 
 
 
 
 
 
古い基礎の場合、コンクリートに鉄筋が入ってないものがあったり、ブロックや石に土台を乗せているものがあります。
基礎の強度が足りない場合、建物全体をジャッキで持ち上げて基礎を作り変える(かなり大掛かりとなります)ことをしたり、既存の基礎の横に沿わせるように新しい基礎を造ることをしたりします。
何れにしても、相当な費用がかかる工事になります。
今回のこの現場では、ブロック基礎の部分は作り変えていますが、コンクリート部分は、そのまま使っています。