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 欄間、給仕口、軸釘、花蛭釘

「マンションの茶席」の造作工事は、年末までに天井が張られるところまでは進めませんでしたが、造作材は組み上げられ、畳屋さんに寸法取りをしてもらいましたので、炉畳、蛭釘の位置がはっきりしました。

畳屋さんには炉畳の位置を荒床の上に墨出ししてもらいました。
床の間の天井板は目透かしに貼ってもらい、こちらは、軸釘、花蛭釘を取付済みです。
軸釘は、1間床ではありますが、三幅掛けることも想定して、中央は固定ですが左右は自在に動く可動の軸釘を、廻り縁を加工して仕組んでもらいました。

大工さんには、給仕口の火灯の型板を取付けてもらい、イメージはだんだんと姿をみせてきました。
8畳の広間ですから、給仕口を火灯とすることもないのかもしれませんが、欄間板に彫った桐菊と源氏香アレンジの図柄と相まって、女性亭主の席らしい柔らかな雰囲気になりそうです。


給仕口の高さが、クライアントの要望で少し高くなったのは、使い勝手のことからですが、プロポーション的には少し心配しています。
席の照明は天井に埋めるLEDですが、障子からの面の明かりとなります。
広間の照明としては、すっきりとしたものになると思いますが、小間であれば、突き上げ窓の体ということになるのでしょうか。
天井が貼られる前には照明ボックスも取付けられます。ちゃんと熱を逃がす換気口もつけてもらっています。

天井内には空調ダクトも配管済みです。

エアコンが席内に見えてしまっては興ざめというものです。空調ダクトからの気流は、天井内のチャンバーボックスで拡散されて、天井板と壁との間の空調スリットから室内へと落とされてくる穏やかな空気の流れとなります。

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 茶席の金物

「マンションの茶席」の現場が、ようやく動き始めました。
新築の高層マンションにお住まいになる前からのリノベーションで、奥様のための8帖の茶席をつくる計画です。
工務店さんを指名でお願いしたこともあって、大工さんたちの空きを待ってのスタートです。
茶席は、奥様のお茶事だけでなく、お弟子さんたちのお稽古の場所にもなるので、 限られたマンションのスペースを、茶事、お稽古の動線に無理なくどちらにも使い勝手がよいように打合を重ねてきました。
この日は、大工さんたちによる現場の詳細な実測と、クライアントと工務店さんを交えての工事見積の最終的な詰めの打合でした。
良い材料と良い仕上を求めるとついつい工事金額があがるものです。取り分け大切な茶席の仕上を守りながらの予算調整ですから、こちらからの仕様変更等も含めてのクライアントからのご返事待ちとなりました。
工務店さんに、茶席で使う金物類をご用意いただきました。
一般住宅ではなかなか使わない金物です。京都の室金物さんから手配していただいただけあって、良い金物がそろいました。

床の間の軸掛けに使う軸釘(二重折)、床の間天井に打つ花蛭釘、床の間壁に埋め込む無双釘、床柱の花釘、床の間入り隅に打つお正月飾り用の柳釘、それにお釜を吊るための釜蛭釘などです。
どれも手造りで、とても良い肌の仕上がりです。
特に床の間軸釘は、三幅対で使えるように、廻り縁を細工して自在に釘が動くものをお願いしました。

それにしても最近の高層マンションでは、エントランスや共用スペースはお金をかけています。広々と、そしてゆったりと来客や住人を迎えるようにつくられています。


お打合の後、「熊魚菴たん熊北店」で、お昼をごちそうになりました。
久々の京料理を堪能させていただきました。