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 天井板貼り、炉壇固定

マンションリフォームではたいていの場合、マンション規約などで残業工事ができません。お隣のことを考えれば、とても迷惑です。
「マンションの茶席」の現場も、6時には掃除を終わらせることになっているので、そのちょっと前に現場の確認にいってきました。
さすが高層マンションです。夜は夜で、すばらしい眺めです。

造作工事は、空調のダクト工事が終わったのを受けて、天井板が貼られました。
天井が貼られるとぐっと落ち着いてきます。
今回は、既製品の電気炉用の炉壇の高さや既存床暖房などの対応から、和室床がFLより150mmあがったために、結果的に天井が少し低めに押えられています。
8帖の部屋としたは、気になるだろうかと少し悩ましかったのですが、それほど問題はないようです。


きれいな中杢の羽重ね天井ができ上がりました。右の金物は吊り釜用の蛭釘。
吊り釜は、3月になって、春を感じてもらうようにと、揺らぎを演出するために天井から釜を吊る点前です。 その鎖を吊るために必要なのが蛭釘です。

これは水屋の天井写真ですが、網代としました。
マンションリビングや書斎の一部をリフォームして造る茶室なので、火の使用が制限されてしまいます。今回の炉には、電気炉を用意してもらいました。
既製品の電気炉に炉壇と炉壇を受ける金物がセットになったものです。
前述した通り、和室の荒床は既存レベルから少し上げられて、炉壇受けを固定するための下地が組まれました。

炉壇受けを取付けた後、炉壇がはめ込まれます。
写真は不燃板が貼られた炉壇受けの外側の様子です。

 

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 欄間、給仕口、軸釘、花蛭釘

「マンションの茶席」の造作工事は、年末までに天井が張られるところまでは進めませんでしたが、造作材は組み上げられ、畳屋さんに寸法取りをしてもらいましたので、炉畳、蛭釘の位置がはっきりしました。

畳屋さんには炉畳の位置を荒床の上に墨出ししてもらいました。
床の間の天井板は目透かしに貼ってもらい、こちらは、軸釘、花蛭釘を取付済みです。
軸釘は、1間床ではありますが、三幅掛けることも想定して、中央は固定ですが左右は自在に動く可動の軸釘を、廻り縁を加工して仕組んでもらいました。

大工さんには、給仕口の火灯の型板を取付けてもらい、イメージはだんだんと姿をみせてきました。
8畳の広間ですから、給仕口を火灯とすることもないのかもしれませんが、欄間板に彫った桐菊と源氏香アレンジの図柄と相まって、女性亭主の席らしい柔らかな雰囲気になりそうです。


給仕口の高さが、クライアントの要望で少し高くなったのは、使い勝手のことからですが、プロポーション的には少し心配しています。
席の照明は天井に埋めるLEDですが、障子からの面の明かりとなります。
広間の照明としては、すっきりとしたものになると思いますが、小間であれば、突き上げ窓の体ということになるのでしょうか。
天井が貼られる前には照明ボックスも取付けられます。ちゃんと熱を逃がす換気口もつけてもらっています。

天井内には空調ダクトも配管済みです。

エアコンが席内に見えてしまっては興ざめというものです。空調ダクトからの気流は、天井内のチャンバーボックスで拡散されて、天井板と壁との間の空調スリットから室内へと落とされてくる穏やかな空気の流れとなります。

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 茶席の金物

「マンションの茶席」の現場が、ようやく動き始めました。
新築の高層マンションにお住まいになる前からのリノベーションで、奥様のための8帖の茶席をつくる計画です。
工務店さんを指名でお願いしたこともあって、大工さんたちの空きを待ってのスタートです。
茶席は、奥様のお茶事だけでなく、お弟子さんたちのお稽古の場所にもなるので、 限られたマンションのスペースを、茶事、お稽古の動線に無理なくどちらにも使い勝手がよいように打合を重ねてきました。
この日は、大工さんたちによる現場の詳細な実測と、クライアントと工務店さんを交えての工事見積の最終的な詰めの打合でした。
良い材料と良い仕上を求めるとついつい工事金額があがるものです。取り分け大切な茶席の仕上を守りながらの予算調整ですから、こちらからの仕様変更等も含めてのクライアントからのご返事待ちとなりました。
工務店さんに、茶席で使う金物類をご用意いただきました。
一般住宅ではなかなか使わない金物です。京都の室金物さんから手配していただいただけあって、良い金物がそろいました。

床の間の軸掛けに使う軸釘(二重折)、床の間天井に打つ花蛭釘、床の間壁に埋め込む無双釘、床柱の花釘、床の間入り隅に打つお正月飾り用の柳釘、それにお釜を吊るための釜蛭釘などです。
どれも手造りで、とても良い肌の仕上がりです。
特に床の間軸釘は、三幅対で使えるように、廻り縁を細工して自在に釘が動くものをお願いしました。

それにしても最近の高層マンションでは、エントランスや共用スペースはお金をかけています。広々と、そしてゆったりと来客や住人を迎えるようにつくられています。


お打合の後、「熊魚菴たん熊北店」で、お昼をごちそうになりました。
久々の京料理を堪能させていただきました。