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 アクアレイヤー見学

建築家31会でも、お世話になっている(株)イゼナの前田さんに、アクアレイヤーの工事の様子を見せていただきに、現場へ伺ってきました。
アクアレイヤーについては、実はずいぶんと前から知っていて、水を蓄えた特殊の袋を床下一面に敷き込み、その水を温めることで暖房する温水タイプの床暖房だと思っていました。
当時は、袋内の水を、熱源で温めるだけでなく、太陽光からの熱を床で受け止め、水の中に蓄熱することで、陽の落ちた後も暖かい床を維持することができる省エネタイプの床暖房との認識でしたが、もう、ずいぶんと進化していて、いろんな可能性が広がってきているようです。

今回見学させていただいた現場は、2階の床下にアクアレイヤーを敷き詰め、下階の天井との隙間に仕込んだエアコンからの熱を、アクアレイヤー内の水に蓄熱させるというもの。
エアコンから送られる暖気は20度から23度程度の低温のもので、これが2階の床にたまり、2階のリビングに送られるなかで、アクアレイヤー内に蓄熱されていきます。
2階では、一般的な床暖房となるのですが、1階も、天井からの輻射暖房として有効なのだという考え方です。
ヒートポンプを備えたエアコンを使うというのは、暖冷房の機器として、最もエネルギー効率の良い機器を使うということで、イニシャルコスト、ランニングコストともに、とても効率的ということですね。
床暖房としては低温ですが、最近の断熱性気密性の高い住宅では、これくらいの温度でも十分快適な室内環境が作れると思います。
すぐに熱くなってほしいという方には、向いてないのかもしれませんが、自然な温もりという快適さは、とても貴重です。
仕込んであるのがエアコンですから、夏には、冷風を循環させることで、アクアレイヤーの水を涼しい温度に保ち、冷輻射の床、天井として使うこともできるようです。
一度体験してみたくなりました。
夏の冷輻射の話など、もう少しお話を聞きたいと思いますが、今度使ってみたくなるシステムでした。
どなたか、やってみたいというクライアントは、いらっしゃいませんか!
 
現場で撮らせてもらった写真です。

蓄熱材に水をつかうというのは、特殊なことで、漏水などの心配がつきまといます。
アクアレイヤーでは、何層にもなる特殊な袋が重ねられている上に、電気的に漏水監理できるようにされていました。

1階から2階の床を見上げたところ。
敷き詰められてアクアレイヤーを受けているのは、ガルバリウム鋼板の折板です。
この鉄板の下をエアコンの空気が流れ、鉄板からアクアレイヤーへと熱を伝えます。
 
 

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 欄間、給仕口、軸釘、花蛭釘

「マンションの茶席」の造作工事は、年末までに天井が張られるところまでは進めませんでしたが、造作材は組み上げられ、畳屋さんに寸法取りをしてもらいましたので、炉畳、蛭釘の位置がはっきりしました。

畳屋さんには炉畳の位置を荒床の上に墨出ししてもらいました。
床の間の天井板は目透かしに貼ってもらい、こちらは、軸釘、花蛭釘を取付済みです。
軸釘は、1間床ではありますが、三幅掛けることも想定して、中央は固定ですが左右は自在に動く可動の軸釘を、廻り縁を加工して仕組んでもらいました。

大工さんには、給仕口の火灯の型板を取付けてもらい、イメージはだんだんと姿をみせてきました。
8畳の広間ですから、給仕口を火灯とすることもないのかもしれませんが、欄間板に彫った桐菊と源氏香アレンジの図柄と相まって、女性亭主の席らしい柔らかな雰囲気になりそうです。


給仕口の高さが、クライアントの要望で少し高くなったのは、使い勝手のことからですが、プロポーション的には少し心配しています。
席の照明は天井に埋めるLEDですが、障子からの面の明かりとなります。
広間の照明としては、すっきりとしたものになると思いますが、小間であれば、突き上げ窓の体ということになるのでしょうか。
天井が貼られる前には照明ボックスも取付けられます。ちゃんと熱を逃がす換気口もつけてもらっています。

天井内には空調ダクトも配管済みです。

エアコンが席内に見えてしまっては興ざめというものです。空調ダクトからの気流は、天井内のチャンバーボックスで拡散されて、天井板と壁との間の空調スリットから室内へと落とされてくる穏やかな空気の流れとなります。