02
1
 左官上塗り

「マンションの茶席」の現場も大詰めです。

左官屋さんが、中塗りを終えて中二日開けたところで、上塗りに入りました。
僕が大学院を卒業後に勤めていた水沢工務店では、中塗りの段階で聚落土入りの材料をつかっていて、中塗り段階では、仕上がっているように見えたものです。
中塗りで1年ねかしておいて、落ち着いた段階で上塗りをするというようなこともしていました。

上塗りは聚落ですが、天然のものではありません。本格的な土壁でもない限り、本来の聚落土で仕上をすることは、まず少ないでしょう。
天然の聚落ではなくとも、風合いもよろしいし、割れの心配もすくない、何より工期が短くてすむのは、現代の住宅の中に造る和室やリフォームには向いた、すぐれた材料です。

火灯口の曲線もきれいに塗り上げられました。
襖はまだですが、障子は納められ、障子紙は、美濃紙を千鳥(レンガ張り)に貼ってもらいました。
今日では、障子紙は機械で漉くことで、大きなサイズが造れますが、かつてはそういうわけにもいかず、1尺程度の巾のものでした。
この茶室でも、そういう障子紙のつなぎを楽しんでもらいたくて、障子の組子の割付を紙の寸法をもとに組んでいます。
障子紙は障子1本で2枚半を貼り並べるともいわれますが、そこまで厳密ではなく、組子と組子の真ん中に、つなぎ(巾1分弱)が出るようにしてもらっています。

01
28
 左官下塗り完了

「マンションの茶席」現場、8帖広間の茶室の壁が下地づくり(中塗り)まで、完了しました。
壁と柱などの木部とが取合うところは、チリの納まりといって、壁材の収縮乾燥によって、柱と壁に隙間ができたりするものです。
左官屋さんは、その隙間ができることをとても心配して、ヒゲコという麻の糸を埋めることで、隙間ができるのを押えるような下地造りをしていましたが、最近の室内用の左官材料はとても良くできていて、乾燥とともに若干膨張するのだそうです。
本物の土壁で仕上げることでもない限り、室内では工法もからって来ているのですね。
火灯口もきれいに中塗りがあがっています。

この「マンションの茶席」の現場では、火灯口廻りを和紙張りするつもりがありません。そういうわけでもないですが、火灯口廻りはしっかりをコテで押さえ込み、ヤスリ掛けをして曲面を造ってくれました。
今回は全てプラスターですが、火灯口木口廻りの中塗りには、漆喰を使うこともあるのだそうです。

床の間、室床の塗り回しと、柳釘の中塗りの状態はこんな感じで納まっています。

大工さんが引き上げていくなかで、炉壇もしっかり納まりました。
畳がしかれるのを待つばかりです。

01
25
 左官工事

「マンションの茶席」の現場も、仕事の中心が大工から左官へと移り、聚落の下地となるプラスターによる下塗りが始まりました。

プラスターの下塗りのために、ボードの下処理をしています。
ボードのつなぎ部分や木部、合板下地に紙テープで割れ防止の処理を施しています。
薄壁のために、下地に合板を使っている水屋裏の壁には紙テープが一面に貼られました。

今回の左官の塗り厚は8〜10ミリあります。
床の間の壁に埋まる無双釘や室床に打つ柳釘のためには、大工が取付け寸法を調整しています。


かつては、左官屋さんが養生テープを使うことなど、なかったように思うのですが、最近は左官屋さんも塗る前にはテープ養生をしているようです。まだ塗ってない壁の廻り縁部分のテープがそれで、塗り厚のガイドにもなっているのでしょうね。

火灯口の引込み戸を引き込む壁も薄い造りになっています。
ボードがプラスターの水分を吸ってムクってしまうのを押えるために、しばらくの間、壁押さえの添え木をしておきます。