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 造作工事始まりました

現場では、大工さんによる造作工事がはじまっています。

現場乗込み前に工務店さんの加工場で、仕口加工などを済ませてきていますので、現場では最終的な調整と組立てです。
エレベーターや階段の寸法の関係で、2間(3.64m)長さの物が運べなかった問題も、大工さんの丁寧な仕事と材の質の良さから、繋ぎ部分にいやな感じは残りませんでした。

8帖の茶室ですから、どうしても2間ものの材が必要です。残念ながら切断して搬入し、現場でのジョイントとなります。鴨居の赤杉は目の通った良い材です。裏側からこのようにボルトで締め込んでいます。

敷居も裏からボルトで締め込み、見えない木口には込栓で狂いを押えるように細工されています。


鴨居と柱の仕口です。木がやせても隙が出るようなことがないよう、柱に差すように彫り込んだ上に、見えない裏側では内法ボルトを使って締め込みます。
柱は天然の面皮です。天然物ですから、一本一本の癖がある面にぴたりと擦り着くように納めるのは、丁寧な技術が必要です。大工さんに感謝です。
 
 
 

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 茶室計画はじまります。

高層マンションのご自宅に、ご自身で楽しみながら茶事をしたり、お稽古もできるような広間の茶席を造るというリノベーション計画が始まりました。

茶席造りということで、模型というよりは、起こし絵図で確認してもらいました。
僕の大学院の修士論文は「侘び茶における転換期とその茶室_千家をとおして」というもので、とりわけ室町から江戸初期頃までの茶室については、ひととおりの理解があるつもりです。
学生時代には、京都に通い続け、茶道のお稽古もしていましたので、茶室の空間体験や茶会の経験も積んできました。おかげでクライアントとの打合は、とても興味深いものになっています。
クライアントは、茶道を教えていらっしゃるのですから、生半可な僕の茶道稽古の経験では、まだまだ教えていただくことの方が多く、打合は勉強の機会にもなっています。ありがたいことです。
お稽古の場と生活の場、お稽古の動線とお茶事の動線、それぞれの求められる必要空間のボリュームと生活ボリュームのせめぎ合い、何度か打合を重ねるうちに、なんとかプランがまとまってきました。
お茶道具もたくさんお持ちですから、マンション標準の収納スペースだけではとても足りなく、水廻りこそいじる部分は少ないのですが、他はほとんど手を加えることとなり、なかなかの工事となりそうです。
広いリビングや寝室も茶席や収納のため狭くなってしまいます。
造作家具や壁の位置、置き家具の位置などを、現地でテープを貼りながら確認していただきました。