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 大工さんの仕事を見学

新築マンションの入居前に8畳広間の茶室を造るという「マンション茶席」の現場は、正月早々2日から大工さんががんばってくれました。
良い大工さんは引っ張りだこで、次の仕事の予定が詰まっているのだそうです。
先週のこととなりますが、事務所のスタッフさんにも大工さんの仕事の様子がわかる段階でみてもらおうと、現場に行ってきました。

丁寧な仕口の加工が求められるこのような茶室造作では、一気に仕事が進んでいくというようには見えないかもしれませんが、工事は順調です。
手間をかけて造っていただいています。

年末にはまだついていなかった欄間も組まれていました。リビングとつながる茶室です。リビングからの見え方も気になっていましたが、桐菊に源氏香崩しの透かしもきれいに見えています。

天井板も貼り始められているところで、空調屋さんが入って、空調の吹き出し、リターンのチャンバーボックスが取付けられたら一気に貼り納められる予定です。
天井板は、杉中杢の板を羽重ねで貼ってもらいます。
羽重ねによるリズムが、モダン一辺倒でない落ち着いた席を造ってくれることと思っています。

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 欄間、給仕口、軸釘、花蛭釘

「マンションの茶席」の造作工事は、年末までに天井が張られるところまでは進めませんでしたが、造作材は組み上げられ、畳屋さんに寸法取りをしてもらいましたので、炉畳、蛭釘の位置がはっきりしました。

畳屋さんには炉畳の位置を荒床の上に墨出ししてもらいました。
床の間の天井板は目透かしに貼ってもらい、こちらは、軸釘、花蛭釘を取付済みです。
軸釘は、1間床ではありますが、三幅掛けることも想定して、中央は固定ですが左右は自在に動く可動の軸釘を、廻り縁を加工して仕組んでもらいました。

大工さんには、給仕口の火灯の型板を取付けてもらい、イメージはだんだんと姿をみせてきました。
8畳の広間ですから、給仕口を火灯とすることもないのかもしれませんが、欄間板に彫った桐菊と源氏香アレンジの図柄と相まって、女性亭主の席らしい柔らかな雰囲気になりそうです。


給仕口の高さが、クライアントの要望で少し高くなったのは、使い勝手のことからですが、プロポーション的には少し心配しています。
席の照明は天井に埋めるLEDですが、障子からの面の明かりとなります。
広間の照明としては、すっきりとしたものになると思いますが、小間であれば、突き上げ窓の体ということになるのでしょうか。
天井が貼られる前には照明ボックスも取付けられます。ちゃんと熱を逃がす換気口もつけてもらっています。

天井内には空調ダクトも配管済みです。

エアコンが席内に見えてしまっては興ざめというものです。空調ダクトからの気流は、天井内のチャンバーボックスで拡散されて、天井板と壁との間の空調スリットから室内へと落とされてくる穏やかな空気の流れとなります。