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 建て替えできない家

親から譲り受けて暮らしてきた家や土地が、また、もう何十年も前に購入した家が、建築基準法により建て替えのできない家であったという方は、東京にはたくさんいらっしゃいます。現在、そんな方とリノベーションの打合せをしています。

建築基準法では、確認申請の必要な建物、場合が定められています。新築する場合だけでなく、増築、改築、移築、大規模な模様替えや修繕、それぞれの工事において、確認申請が原則必要です。住宅用のエレベーターをつけたり、カーポートを作るにも必要です。
その中で、一般的な住宅である木造2階建ての規模の大きくないもの(200m2以下)は、4号建物という範疇に入り、これについては、大規模な模様替えや修繕についての申請が必要とされていません。
この辺りの法律の読み方からでしょうか、リフォームについては自由とか、大規模な修繕も確認申請いらない、極端な話としては、柱一本残してあれば大丈夫なんていう不動産屋さんや工務店さんもいるようです。
ですがそれは、そもそも正当な手続きを踏んで完了した建物について許されていることです。築年数の古い住宅では、完了検査を受けていないことが多く、これに当てはまらないことが多いのが現状です。

ここ数年そんな建替できない家の相談が多く、今年も数件のご相談を受けました。
耐震性能を強化して安心したい、断熱性を高くして暖かく健康に住める家にしたい、高齢化も進み、省エネを考えれば、切実な思いになってきました。
築年数の古いものは、構造体の老朽化が進んでいたり、蟻害が見つかったりする場合もあり、ほっておくことはできない状況が多いです。勝手に大規模な修繕をしてはいけないと言われても、なんらかの対策は必要です。

今回のご相談も、状況に応じて、役所とも相談しながら、対策を進めていますが、可能性のあるプラン提案をしたうえで、クライアントに方向性を検討していただいています。