06
28
 シロアリ、腐り

「茶の間のある家」の解体工事が始まりました。
設計の初期段階に天井板を外させてもらって、屋根裏を覗き、畳を上げさせてもらって、基礎周りの様子をみせてもらっていましたが、やはり解体してみると、いつものように、問題点が出てきました。
古い住宅です。昭和43年の棟札が出てきました。48年前の建物です。
耐震のことはもちろんですが、いろんなところが今の造り方と違っています。良いところもありますが、耐久性についてはほとんど考えられていないようです。

屋根の野地板というかザラ板は、今では合板ですが、一応無垢板です。整った板ではないですが、まだしっかりしています。
しかし、元々が和室だったのでしょう、使っている柱が細いために、廻縁取り付き部分の柱の欠き込みが、結構大きく、構造的には心配です。

設計段階で、床下を覗かせてもらった時は、思いの他、痛みが少ないように見えたのですが、やはりかなり痛んでいました。
確認できた1階の和室周りでは、見えていた基礎高さは、地面から15〜20センチくらいはあったのですが、敷地が狭く外壁状況の確認できていない部分では、基礎の立ち上がりも低く、ひどい状態で、柱の根元は無くなっていました。
風通しも悪く、湿った土がほとんど土台近くまで上がってきています。これでは、土台も柱も腐ってしまいますね。

お隣がリフォームした時に敷地境界にコンクリート土間を作っていて、そこの高さは、こちらの床下換気口より高く、ほとんど土台の高さ。
土間コンクリートだったので、土と違って、湿気は少なかったのでしょうか、土台の痛みは少ないようですが、この先は、土台や柱の保証ができません。
お風呂周りを増築したらしい部分では、柱にシロアリにやられた痕が見つかり、
内部も水回り室の間仕切りの土台が、ひどく傷んていました。床下は土のままで、基礎はあっても低いのは問題だったようです。どこの現場でもそうですが、水回りは痛みがひどいですね。
   
そして、基礎のコンクリートも無筋のようです。48年も前では、だいたいそんなものかもしれません。
土台アンカーの位置には、クラックが確認されました。

柱の取り替えはもちろんですが、今後、長く住んでいただくには、基礎についても検討が必要です。予算とともに、施主への説明、今後の計画への再検討が必要です。
「茶の間のある家」の事前調査の時の様子はこちらから。
最近の木造スケルトンリフォームの様子はこちら「耐震+省エネリフォームの家」
 

05
25
 木造住宅のリフォーム 既存部分の構造補強

木造住宅の場合は、間取りの変更のために柱の位置を変えたりすることは、案外出来るもので、その分、構造補強をするという話を前回(木造住宅のリフォーム。間仕切り変更、構造補強)しました。
最近の木造住宅のリフォームで、耐震補強を主目的とするリフォームが多くなったように、スケルトンリフォーム(内部だけでも構造体だけのような状態にして行うリフォーム)をする場合などは、まず耐震のお話が出てきます。
2000年の法改正(建設省告示第1460号)で、木造の耐震基準はかなり変わりました。そのため、それ以前のものは、現在の基準からすれば、問題を抱えています。
我々の経験では、2000年以後のものでも、経験不足からか、施工方法の間違いなどで、耐震性能が不足する住宅が、リフォームのときに見付られました。安心できそうなのは、工務店さんの経験値が上がった、ここ数年に建てられたものくらいかもしれません。
さらに、今回の熊本地震からは、新しく建てられた住宅ですら、倒壊の問題が指摘されています。

今回のスケルトンリフォームでは、外壁もほとんど撤去していますので、耐震壁の補強は十分にできています。
外壁面では、構造用合板と筋交いの両方を使っています。
既存にも筋交いは、少ないとはいえ入っていましたが、 現在の構造の基準からすると固定の仕方も脆弱なもので、ほとんどで取替え、補強のし直しとなりました。

 
これは、2階の床下を見上げている写真で、柱と筋交いは専用金物で止めないといけません。
2階の床には、24ミリの厚い構造用合板を使い、耐震性を高めています。
グレーに見えるのは床暖房のために入れた断熱材です。
 

 
この写真は、柱の足元の様子で、同じく専用金物で筋交いが止められています。
 
 
 
 
 

 
耐力壁となる外壁に使う構造用合板は、止め方も決まりがあります。
使う釘や、釘のピッチが強度を決めるので、基準を守らないといけません。

 
 
 
阪神大震災では、柱が基礎から引き抜かれたことが、倒壊の大きな原因になっていたので、2000年の改正では、地震の力を強く受ける柱は、基礎とボルト(ホールダウン金物)で緊結することが必要となりました。
この建物では、後付けとはなりますが、ホールダウン金物を追加することで、地震時に浮き上がりそうな柱を、基礎に固定しています。
 
 
 
 
 
 
 
古い基礎の場合、コンクリートに鉄筋が入ってないものがあったり、ブロックや石に土台を乗せているものがあります。
基礎の強度が足りない場合、建物全体をジャッキで持ち上げて基礎を作り変える(かなり大掛かりとなります)ことをしたり、既存の基礎の横に沿わせるように新しい基礎を造ることをしたりします。
何れにしても、相当な費用がかかる工事になります。
今回のこの現場では、ブロック基礎の部分は作り変えていますが、コンクリート部分は、そのまま使っています。 

08
10
 解体工事、木材腐朽菌

ここ数年、リフォームのお話が多くなっています。特に木造のスケルトンリフォーム、耐震補強に、断熱などの住宅性能を高めながら、生活スタイルの変化に対応して、ある程度間取りも変えたいというお考えの方が多いようです。
「耐震+省エネリフォームの家」の現場も生活スタイルの変化に伴いリフォームを計画された現場で、本格的に内部の解体が始まりました。
ある程度解体が進んだところで、構造材の状況の確認に行ってきました。

設計を進める前には、柱の位置や床を支える梁の位置や大きさなど構造の組み方を知りたいので、解体前のお住まいのうちから、床や天井の一部を壊させていただき、少しは確認しているのですが、全体を見られるのは解体まで待たないといけません。
特に2階の床の様子は確認しにくいところなので、解体することで、初めて床を支える部材(梁)の様子がわかりました。
柱も、いただいた図面とは違って、あるべきところになかったりしています。2階床梁のかけ方も想定とは違っていました。
確認できなかったところでは違っていてもしょうがありません。現場で、大工さんと打ち合わせて、どう変更するのが有利なのかを決めていかないといけません。

水回り、お風呂や洗面所、台所まわりの土台や柱などの木構造部分は、傷みやすいものですが、 特に湿気が多く、温度も高くなるお風呂まわりは危ないものです。
浴室では、腰の高さくらいまではブロック積みの壁を造ることで、床近くには木材を使わない現場も多いと思いますが、この現場はそれもしていなかったので、浴室の水が、随分と土台や柱に浸み込んできていたようです。かなりひどい状態でした。

写真は、柱が土台にのっている部分のものですが、ほとんど溶けてなくなっているような状態で、太さは1/5くらいになっているでしょうか。ほとんと構造的には役に立っていない状態です。
木材腐朽菌によるためですが、土台も柱も腐り溶けています。
この腐り具合は想定外で、土台、柱の取り換えをしてもらわないといけません。
工期にも影響出てきますし、クライアントにも費用の負担が発生してしまいます。

浴室まわりでは、増築された跡も見られました。コンクリート基礎が削り採られて、浴室が広げられ、ブロックによる基礎が造られています。
今回は、この部分の壁を撤去し、基礎から新設してもらうようにお願いしてあります。

04
16
 基礎立上がり部分コンクリート打設前確認

今週の現場は、基礎のコンクリート打設があります。先週はこの計画の基礎では、最も重要な地中梁とスラブ(床版)のコンクリート打設でしたが、今週は土台を乗せる立上がり部分のコンクリート打ちが、予定されています。

ホールダウンアンカーは、前回の打設の時にセットされていましたが、今回は土台を固定するためのアンカー位置の確認、立上がりの配筋や型枠内が汚れていないかなどを確認してきました。

一部指摘事項もありましたが、監督さんも気づいていたようで、特に問題なく終了。
鉄筋屋さんはコンクリートの打設高さの墨出中です。

根伐のあと、既存で残されているブロック塀の基礎が、いやな感じで現れてきています。ちょうど勝手口の前でしたから、勝手口の位置も少し変更していますが、どうやって納めていくか考えておかないといけません。
 
現場にかわいくも大きな缶が。
基礎屋さんのもってきたもののようなんですが、何ともかわいいので、現場の記録に残しちゃいます。