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 「茶の間のある家」の室内窓

スケルトンリフォーム計画「茶の間のある家_リフォーム」が、住宅・インテリアの情報サイト「homify」の特集記事でピックアップされています。

「茶の間のある家」は、小さなお子さん二人とご夫婦の4人家族の小さな住宅です。
築年数が40年を超える既存住宅は、接道問題で建て替えができなかったために、小さなお子さんのためにも、耐震改修と省エネ改修をして、古い間取りから、現在の生活スタイルに合わせた間取りに変えていく、リフォーム計画です。
現在の生活スタイルに合わせた間取りとしていながら、「茶の間」という畳の部屋があるところがおもしろいでしょ。

住宅が密集するこの敷地環境では、お日様の明かりや風通しを確保することが、とても大変でした。
近隣住宅の建っている位置を確認しながら、窓の位置を変更し、階段吹抜けの屋根部分にトップライトを設けたり、風の通り具合を検討しつつ、室内環境を整えています。
耐震改修を施し、断熱気密性能を充実させたので、安心とともに、光熱費などのランニングコストも大幅にダウンさせています。

「homify」では、階段室・ファミリールームに向けてあけた寝室の室内窓をピックアップして、特集「室内窓の機能とおしゃれなインテリアスタイル Best 5」で取り上げてくれています。ご覧になってみてください。

「茶の間のある家」の竣工写真は、まだアップしていないのですが、
ブログから、工事の様子や竣工の様子などもご覧いただけます。
こちらからどうぞ blog>茶の間のある家_リフォーム

07
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 アジアンテイストリフォーム1年検査

昨年お引き渡した「アジアンテイストリフォーム」の1年検査に行ってきました。
1年後に改めて検査をするというのは、設備などの使用も一巡し、仕上げに使う自然素材なども、乾燥や高湿度を経験し、調整が必要な部分が見つけやすくなってくるのです。

我々にご依頼いただく住宅設計でも、既製品利用は多くなってきていますが、基本的には注文住宅は一品生産です。人手作るものですから、不具合が発生は、避けられないのかもしれません。
もちろん、工事だけの問題ではなく、設計上の配慮が足りないということから起こる不具合もあり、我々はそういう経験を積み、対応していくことが重要なことです。

不具合なしということもありますが、今回は、幾つかの修繕ポイントが見つかりました。
といっても、実は6ヶ月検査を今年の1月にしていたので、すでに確認ができていた問題点なのですが、クライアントは、まだ東南アジアでのお仕事が忙しく、日本には帰ってこれない生活をされているので、手直しなどは、1年検査の時にまとめてやりましょうということになっていました。

残念だった点は、壁と天井に塗ってあったドイツ漆喰のひび割れです。
若く熱心な大工さんで、とても良い方だったのですが、下地の作り方にもう少し手をかければよかったのかもしれません。
このドイツ漆喰は、かなり強度のあるコバウという専用の壁紙を下地に、ローラーで塗る工法ですが、専用壁紙を貼っている下地が動いて、そのコバウという紙が切れてしまい、仕上げの漆喰部分にもヒビが入ってしまいました。
下地の補強を打ち合わせしましたが、さらに大工さんとも検討してもらい、専用壁紙からの張り替えた上に、もう一度ドイツ漆喰を塗らないといけません。

 

「アジアンテイストリフォーム」では、無垢のチーク材をたくさん使っています。フローリングから、天井のルーバー、上がり框などです。
そのチークの無垢材に狂いが出ていました。
1月の半年検査では、乾燥によるひずみが気になる感じに出ていたのですが、湿度が上がり、夏のこの時季には、少し治まってきていました。少し戻ってきているようです。
床鳴りなどもそうですが、無垢の材料の難しさ、怖さでもあります。
だんだんと落ち着いてくることもあるので、ある程度は様子見が必要です。

無垢材だから、少しくらいのアバレはしょうがないと、よく言います。
それが、ある程度のものであれば、変化を楽しんだり、気にならなかったりしますが、アバレがないのに越したことはありません。
アバレを見越して、その対策を施せる職人さんは少ないです。
材料の扱い方、材料の質の見分け方などは、大変な技量と経験が必要です。
最近では、木材の質の良し悪しを見分けられる目利きの材料屋さんはいるのでしょうか。

上の写真は、玄関の畳コーナー小上がり部分(飾りの間)です。チークの無垢材を使っているこの住宅ですから、畳への上がり框もチーク材です。
畳も本畳で厚みがあるので、その厚み分のチーク部分にヒネリが出ているようです。
下地の取れる部分は、しっかり固定できるのですが、畳の厚み分は、チーク材がフリーになってしまっています、その部分、畳との間に空きができていました。
これは、1月の写真で、乾燥によるものだと思われます。今回の1年検査との時には、これほどの空きはなくなっていました。
うまく自然に収まってくれると良いのですが、歪んだ木材を戻すのは、とても大変です。

これは原因がわかりにくいのですが、一部ペンキ部分にもヒビが見られました。
寒冷紗処理をしてもらい、塗り直しをお願いしています。

他にもチーク材のドア框に割れが入っていたり、エアコンが効かなくなっていたりで、建設会社の監督さんも一緒にチェックしてもらいまいした。
まだ日本に住んでいらっしゃらない施主です。帰国されたタイミングでの補修工事予定を段取り良くと、お願いしました。

 

検査の後には、クライアント手作りのベトナムランチをいただきました。
ベトナムのつけ麺とサラダ。名前を忘れてしまいました。
下の写真はつけ麺です。
肉団子とお肉にシソやレタス、もやし。
この具材とお米の麺を、唐辛子のちょっと入ったナムプラーベースのつけ汁につけていただきます。


お米の麺といえば、フォーしか知りませんでしたが、フォーは平麺で、これは丸麺(?)。麺にも何種類かあるのだそうです。
今回いただいたのは、ブンでしたでしょうか。

これは、サラダ(ですよね)。パックチーが効いてます。
パックチー好きとしてはたまりません。

ベトナム料理をふるまっていただくのに、東京で買えるベトナム食材屋さんを探してくださったそうです。蒲田の福山商店というのを見つけられて、買ってきてくださいました。

東南アジアの料理が大好きな僕には、ありがたいやら、わざわざ出向かれて申し訳ないやらですが、珍しいベトナム料理を美味しくいただいた上に、楽しそうなアジアの食材屋さんも教えてもらいました。
今度蒲田に行くことがあったら、寄ってみたいです。

「アジアンテイストリフォーム」は、20坪程度のマンションのスケルトンリフォームです。
クライアントが、東南アジアでの今のお仕事を引退された後の住まいとして、キッチンを中心とした間取りで、お客様をお招きしたい。
これまで集めてこられた絵画や小物、家具に囲まれて一人暮らしを楽しみたい。
マンションでもご近所との良好なお付き合いをしていきたい、などの思いを受けて提案した計画です。
「終の住処」ともいえる計画です。
ミャンマーで購入されたチークの透かし彫りをどう見せるかもポイントで、チーク材をキーにして、漆喰などの自然素材を選んで仕上げています。

「アジアンテイストリフォーム」の竣工写真アップが遅れています。
もうしばらくお待ち下さい。
扶桑社から昨年発売された「別冊住まいの設計 オトナリノベーションvol.2」に、「キッチンが真ん中の家」として、紹介されています。

工事の様子などはこちらからご覧いただけます。
blog>アジアンテイストリフォーム

02
26
 「茶の間のある家」1年検査

文京区でリノベーションした住宅「茶の間のある家」の1年検査にお邪魔してきました。
「茶の間のある家_リフォーム」は、築40年を超える木造住宅の耐震補強、断熱気密改修を中心に、いまお住いのクライアントのための生活に間取り変更などをしたリノベーション住宅です。

検査にお邪魔すると、片づけをされてはいるんだろうと思いますが、それでも、どこのお宅もきれいに使っていただいています。
それは、十二分な打ち合わせをさせていただいているからこそ、愛着ある住まいであり、使い勝手も良い証であるのだと思います。
「茶の間のある家」も、とてもきれいに使っていただいていました。
遊び盛りのお子さんが二人いるので、散らかりがちだと思いますが、お子さん達も自分達のスペースを上手に使っているようで、楽しそうです。

検査では、漆喰塗装の入り隅に一部ヒビが入っている部分が見つかったり、西日を直接受けるスチール製の玄関ドアに、若干の歪みが出るなどの指摘を受けて、修正・手直し工事の予定を立てました。
全体としては、大きな問題点はなく、検査は無事終了しました。
クライアントからは、暖かくて快適、使いやすいキッチンや洗面所など、嬉しい言葉をもらいました。

「茶の間」は、リビングであり、ダイニング、お客さんをお迎えする場でもある部屋です。小さな住まいならではかもしれませんが、多機能な部屋ながら、気持ちいい使い方をしてくださっています。
茶の間に用意しておいた棚や出窓は、子供達のおもちゃの収納場所というだけではなくて、作品やら小物たちで、可愛らしく飾ってありました。


 
畳とフローリングの取り合いもすっきり納まっています。


お子さん達の部屋は、家具を大工さんに造作してもらっていて、引き出し収納付きのベッドの下には勉強と本棚、洋服掛けのハンガースペースがあります。
お引き渡しの時には、穴だけ開けていたベッドのサイドボードと天井からの幕板には、ロープが張られて、落下防止のロープ柵が出来上がっていました。
2階のファミリールームは、お子さんの鉄棒練習場になっていました。
いまは、こういうものが購入できるんですね。
うちの中にこんな練習場所があれば、ちょっと嬉しくないですか?

 
「茶の間のある家」の現場や最近の様子は、ブログからご覧になれます。
こちらからどうぞ blog>茶の間のある家 
 
 

06
16
 お引き渡しからオープンハウス


先日のこととなりますが、「アジアンテイストリフォーム」は、クライアントより、オープンハウスを開催する機会をいただきました。
たくさんの方に内覧していただき、多くのご意見、感想をいただくことができました。ありがとうございました。
混み合う時間もありましたので、話足りない方々も多くて、申し訳なく思っています。
今回のオープンハウスは、お引越しの後のお時間をいただいものですから、家具や部屋の飾りも揃っていて、我々が設計を通して検討してきた「生活」を感じていただきやすい内覧会となりました。
皆さんどう感じていただけましたでしょうか。
来ていただいた皆さんそれぞれから、お話が聞けず残念でした。



 
 
オープンハウスの数日前には、クライアントへのお引き渡しが行われました。

引渡しでは、工務店さんから、保証についての説明、メンテナンス等での連絡先などの説明があり、引渡し書にお互い署名捺印して、鍵が渡されて、お引渡しが完了となります。
今回、鍵の作り変えが間に合わず、ちょっと残念でした。すばらく古いものを使っていただくこととなってしまいました。
また、引渡しの時には、使い方説明もおこないます。
説明は、設備機器の使い方が中心で、給湯器や床暖房、エアコン、電気など、業者さんの説明を受けます。
キッチンでは、amstyleさんが来てくださって、ていねいに説明してくださいました。
キッチンもそうですが、機器類はどんどん新しくなってきていて、一度聞いておくと、すぐ使わないとしても、後々役に立ちます。

「アジアンテイストリフォーム」の竣工写真は、次回、クライアントが帰国された時に予定しています。
ギルドデザインの works にも、いずれアップしていきたいと思います。お楽しみに。
これまでの現場の様子は、こちらからご覧になれます。
「アジアンテイストリフォーム」

05
8
 畳打合せ

「アジアンテイストリフォーム」の現場では、壁や天井に石膏ボードが張られ始めました。ということは、壁や天井の中に入るべき電気の線や空調の冷媒菅、ダクトなどの工事が終わってきたということです。
逆に、まだボード張りの残っているところでは、まだ設備工事が、完了していないようで、大工さんが配線の間違いに気がついて、手直し待ちということでした。

ボードが張られると、これまで透けていた壁や天井に面ができてくるので、よりスペース感がでてきます。
「アジアンテイストリフォーム」は、基本的には、大きなワンルームのようなプランニングですが、冬には冷える玄関は、ガラス入りの格子戸で仕切れる少し広めの場所になっています。
玄関には、土間と2帖の畳の小上がりがあって、小上がりを「飾りの間」と呼んでいます。
もともと玄関となりの6畳ほどの部屋の出窓のあったあたりを、2帖の「飾りの間」として作り込んでいます。出窓の窓を少し開けておくことで、廊下を歩くマンション住民に、飾りを通して季節を感じてもらいたい、飾りを通してコミュニケーションできる細工になるのではないかと目論んでいます。
小上がりの「飾りの間」は、お隣さんがちょっと寄った時に、気楽に腰掛けていただく場所にもなります。

その畳の場所が出来上がっていました。
上がり框や畳寄せは、チークです。フローリングと合わせています。
畳とチークの取り合わせは、ちょっと珍しいです。とても楽しみです。
チークは硬いとはいえ、コーナー部分のシャープなエッジに傷がついては台無しです。
早速、養生をしてきました。

畳寄せがついて、畳のスペースが区画されれば、畳屋さんが寸法取りに入れます。
良い畳は、その都度、寸法を測って製作するものです。
今回は2畳と狭いですが、4畳半であっても、一畳一畳の畳の寸法というものは違っています。どんなに大工さんがしっかり造作していても、完全な正方形、長方形には作れません。ピタッと畳を収めるためには、正確な寸法取りが欠かせません。
 
現場の打合せを終えて、畳屋さんへ仕上げの最終打合せに行ってきました。

今回の畳は、クライアントのお勧めで、ご近所のクマイ商店さんにお願いします。
東京の一般住宅では、畳を使うことが本当に少なくなり、畳屋さんの数も随分と少なくなったのですが、このクマイ商店さんは江戸時代から300年の老舗です。
最近では、スタイロフォームやヒノキの畳床もあって、それなりに機能的ではあるのですが、昔ながらの藁の畳床を選びました。
熊本の上級品のい草を使い、クマイ商店さんの技量で、すっきりとシンプルで細めの無地縁でまとめます。
 

09
24
 床柱、畳、唐紙

「マンションの茶席」のクライアントと、床柱、畳、唐紙の確認に、工事をお願いする木村良三工務店さんの案内のもと、新木場、両国、上野と、半日がかりで廻って参りました。
最初に、新木場駅前の集合して銘木店の「カネジュウ」さんへ床柱選び。
事前に木村工務店さんからの連絡をしていただいていたので、良さそうな材を選んでくださっていました。
柱は面皮柱、床柱には磨き丸太の目通り120φ程度のものをお願いしてありましたが、落とし掛けについては、木村さんお薦めで、平が中杢できれいなものが見つかりました。

せっかくですから、他の材もみせていただこうということで、2階の置き場をみせていただいところ、床柱は絞りの浅めの天然絞り丸太に良いものがあり、少し値はあがってしまいますが、お見積をお願いすることとなりました。

お茶席と言えば、京間が基本ですが、8畳間ともなると東京の8畳からすると2割近く広い感じです。今回のマンションの広さの中でのリフォームでは、これはかなり厳しい条件となります。
今回、炉には電気炉を使うのですが、 京間用のものしか市販されていません。
いくつかのお道具にも、そんな制限はあるものの、台子には田舎間用があるので、今回は、田舎間サイズで考えていくことなりました。
ただし、お稽古のためにも、畳の目数はしっかり押えておきたいということで、「小宮畳店」さんを尋ねて、畳表の目のことや畳寸法のことをおしえていただきました。
この日の最後は、襖に使う唐紙選びに上野の「東京松屋」さんへ。
最初から選ぶのは、たいへんな数の組み合わせになるのですが、クライアントから、桐紋で雲母刷りとの希望があったこともあり、比較的すんなりと候補があがりました。
今回の計画では、間取りの使い勝手から下座床になってしまうのですが、造作は基本に忠実なお席です。面皮丸太をつかうことで、大工さんの技量がないときれいに納まらない席です。
襖には雲母がはいり、ほのかに艶があるとても楽しみにな広間の席になりそうです。