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 ウレタン現場発泡

「耐震+省エネリフォームの家」は、現在の生活スタイルに合わせるために、間取りの変更もおこなっていますが、耐震性能を高めること、断熱性能や気密性能を高めることで、安心して、暖かく住める家を目指しています。
いろいろな事情で、建替のできない家というのが、東京にはたくさんありますが、地震への備えや、寒さ暑さ対策は、まったなしです。スケルトンリフォームをする「耐震+省エネリフォームの家」のような事例は、まだまだ多いのではないでしょうか。
断熱性を高めること、結露を抑えることなどのために、古紙やパルプを使った断熱材、セルロースファイバーという断熱材をお勧めしましたが、セルロースファイバーは、断熱材としては、コスト高なこともあり、同じように、壁内に隙間なく断熱材を埋めていけるウレタンフォームの現場吹付となりました。
セルロースファイバーは、パルプや古紙を利用した断熱材で、吸湿性が高く、壁内結露が起きにくいのが良いところで、自然に近い素材です。
ウレタンフォームの現場吹付は、下地となる合板や柱に隙間なくくっついていくので、気密性も期待できるのが、良いところです。

柱、間柱の間に、現場で発泡させるウレタンフォーム断熱材を、吹付けて埋めていきます。木部との接着性がよく、隙間なく断熱材を埋めていくとこができます。
断熱材の取付け方で大切なことは、隙間なく埋めていくことです。

木造では、柱や梁などの構造材の固定には金物を使います。その金物が外壁に使われて、外の冷気とつながってしまいそうな場所(熱橋となる場所)には、金物の上からもウレタンを吹付けてもらいました。
職人さんが理解していれば、発泡ウレタンは、断熱層をムラなく作ることが可能ですが、発泡させながらムラなく吹き付けるには、経験や素材を理解した技術が必要です。
我々は、吹付けのタイミングで現場確認に入って、ムラや隙間があった場合は、修正してもらいます。

ウレタンフォームの吹付け状態を確認してみると、発泡が十分でなかったり、断熱材の厚みが足りていない、また、隙間がある部分が見つかりました。
その部分には、吹付けを重ねてもらうことで、隙間なく、計画通りの厚みとなるように指示しています。

下の写真は、断熱の薄くなっていた部分に、後から吹き重ねて埋めてもらった部分です。

監督さんに理解があれば、我々が出る必要はないのですが、関東では、これまであまり断熱性についての施工をしっかりとやってきていないので、断熱工事を間違いなく施工できる工務店さんは、意外と少ないのです。
これからは、高気密高断熱が当たり前になる時代がやってきますが、やはり、まだしばらくは、現場での確認が必要なようです。
耐震+省エネリフォームの家の現場の様子はこちらをクリックください

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 木造住宅のリフォーム 既存部分の構造補強

木造住宅の場合は、間取りの変更のために柱の位置を変えたりすることは、案外出来るもので、その分、構造補強をするという話を前回(木造住宅のリフォーム。間仕切り変更、構造補強)しました。
最近の木造住宅のリフォームで、耐震補強を主目的とするリフォームが多くなったように、スケルトンリフォーム(内部だけでも構造体だけのような状態にして行うリフォーム)をする場合などは、まず耐震のお話が出てきます。
2000年の法改正(建設省告示第1460号)で、木造の耐震基準はかなり変わりました。そのため、それ以前のものは、現在の基準からすれば、問題を抱えています。
我々の経験では、2000年以後のものでも、経験不足からか、施工方法の間違いなどで、耐震性能が不足する住宅が、リフォームのときに見付られました。安心できそうなのは、工務店さんの経験値が上がった、ここ数年に建てられたものくらいかもしれません。
さらに、今回の熊本地震からは、新しく建てられた住宅ですら、倒壊の問題が指摘されています。

今回のスケルトンリフォームでは、外壁もほとんど撤去していますので、耐震壁の補強は十分にできています。
外壁面では、構造用合板と筋交いの両方を使っています。
既存にも筋交いは、少ないとはいえ入っていましたが、 現在の構造の基準からすると固定の仕方も脆弱なもので、ほとんどで取替え、補強のし直しとなりました。

 
これは、2階の床下を見上げている写真で、柱と筋交いは専用金物で止めないといけません。
2階の床には、24ミリの厚い構造用合板を使い、耐震性を高めています。
グレーに見えるのは床暖房のために入れた断熱材です。
 

 
この写真は、柱の足元の様子で、同じく専用金物で筋交いが止められています。
 
 
 
 
 

 
耐力壁となる外壁に使う構造用合板は、止め方も決まりがあります。
使う釘や、釘のピッチが強度を決めるので、基準を守らないといけません。

 
 
 
阪神大震災では、柱が基礎から引き抜かれたことが、倒壊の大きな原因になっていたので、2000年の改正では、地震の力を強く受ける柱は、基礎とボルト(ホールダウン金物)で緊結することが必要となりました。
この建物では、後付けとはなりますが、ホールダウン金物を追加することで、地震時に浮き上がりそうな柱を、基礎に固定しています。
 
 
 
 
 
 
 
古い基礎の場合、コンクリートに鉄筋が入ってないものがあったり、ブロックや石に土台を乗せているものがあります。
基礎の強度が足りない場合、建物全体をジャッキで持ち上げて基礎を作り変える(かなり大掛かりとなります)ことをしたり、既存の基礎の横に沿わせるように新しい基礎を造ることをしたりします。
何れにしても、相当な費用がかかる工事になります。
今回のこの現場では、ブロック基礎の部分は作り変えていますが、コンクリート部分は、そのまま使っています。 

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 木造住宅のリフォーム。間取り変更、構造補強

スケルトンリフォームという大掛かりなリフォームの場合、住まいの間取りの変更もよく行われます。
コンクリート造のマンションなどでは、各部屋の壁は、本体構造ではないことがほとんどなので、仕上げや設備を剥ぎ取ったコンクリート状態にして、新たな間仕切りや仕上げをするスケルトンリフォームはとてもしやすいことが多いです。
木造住宅の場合のスケルトンリフォームでも、生活スタイルの変更に伴って間取りの変更が求められることがよくあります。
木造住宅では、間仕切り壁の中にある柱が、本体構造の一部であることが多く、 マンションリフォームのようには、壁を簡単には壊せません。
しかし、コンクリートの建物では、間仕切り壁を壊すのは簡単でも、本体構造をいじることが、とても大変なのに対して、木造では、構造の組み換えや補強がしやすく、ある程度は構造体を動かしながらの間取り変更が可能です。

写真は2階の床を支える構造の様子です。
1階の間取り変更のために、柱を抜いたり、位置を変えたりする場合など、太い梁(床を支える木材で柱の上を繋ぐ材)を元々の細い梁の下から支えるように入れて、補強しながら、2階の床を支えるようにしていきます。
古い梁を取り去って、新しい梁に取り替えることもあります。

梁材は、既存や新規の柱を少し欠き込みながら、楔を使ってレベル調整をしつつ柱に差し込んでいきます。
さらに金物で、梁が柱から抜けないように補強します。
地震の時、構造は揺れ動かされ、柱と梁の接合部に力が加わるので、この補強がとても大切になります。
新築でも、最近はほとんどが金物による接合部分の補強がポイントとなり、良い金物が多く出ています。リフォームでもこの金物を使っています。
 

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 シロアリ

古い木造住宅の場合、心配することの一つがシロアリです。
少し前に、木材腐朽菌によって、痛められた柱や土台の様子をお伝えしましたが、この写真は、シロアリによる被害の様子です。
被害の多いのは、湿気の上がりやすい土台や柱の足元周りです。
法規上で、一般的には、地面より1mの高さまでは防蟻処理をすることが求められているのは、そのためです。
この現場でも、造られた当初は、防蟻処理が施されていたのでしょうが、多くの防蟻剤は、そう長い間効いているものではありません。
かつてのクレオソートなどのかなり有害な薬剤では、まだ長期に効いたのかもしれませんが、最近の防蟻剤は、有効期限は5年程度ともいわれています。
20年、30年という築年数の住宅では、防蟻性能はほとんどなくなっているともいえますから、湿気のつきやすい状態での土台や柱足元は、かなり危険な状態に置かれているということです。
では、足元ばかりを気にしていれば良いのかというと、こんな例もあります。

これは2階の床を支えたり、地震力を受ける梁(はり)とか胴差(どうざし)と言われる木材です。つまり、2階の床下にある材料で、地面からは3m以上高いところにあります。
太い梁なんですが、シロアリによって上半分くらいがスカスカで、指を突っ込むとズボっと入るくらいでした。これでは大切な強度が足りなくなっています。地震や強風の時など、とても心配です。
この現場では、1階部分が少し出っ張っていたので、小さな屋根が付いていたのですが、屋根の作り方が悪かったのでしょう、雨漏りによって木材が湿った状態となり、シロアリの被害を受けたようです。
イエシロアリは水分を運ぶので、上階でも注意が必要と言われていますが、最近では水分を必要としない外来のアメリカカンザイシロアリの生息範囲も広がっているようです。一層の注意が必要なようです。
防蟻剤は、ゆっくりと揮発するものが多いです。
それはいつか再塗布が必要となり、有効期限が設けられています。
隠された壁の中で、効果がなくなるようでは、困ります。
ギルドでは、ヒバオイルなどの自然由来の防蟻剤を使っていましたが、ホウ酸の防蟻剤が認定されたことで、そちらを使うようにしています。
ホウ酸防蟻剤は、人への害はなく、揮発することがない防蟻剤です。
 

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 解体工事、木材腐朽菌

ここ数年、リフォームのお話が多くなっています。特に木造のスケルトンリフォーム、耐震補強に、断熱などの住宅性能を高めながら、生活スタイルの変化に対応して、ある程度間取りも変えたいというお考えの方が多いようです。
「耐震+省エネリフォームの家」の現場も生活スタイルの変化に伴いリフォームを計画された現場で、本格的に内部の解体が始まりました。
ある程度解体が進んだところで、構造材の状況の確認に行ってきました。

設計を進める前には、柱の位置や床を支える梁の位置や大きさなど構造の組み方を知りたいので、解体前のお住まいのうちから、床や天井の一部を壊させていただき、少しは確認しているのですが、全体を見られるのは解体まで待たないといけません。
特に2階の床の様子は確認しにくいところなので、解体することで、初めて床を支える部材(梁)の様子がわかりました。
柱も、いただいた図面とは違って、あるべきところになかったりしています。2階床梁のかけ方も想定とは違っていました。
確認できなかったところでは違っていてもしょうがありません。現場で、大工さんと打ち合わせて、どう変更するのが有利なのかを決めていかないといけません。

水回り、お風呂や洗面所、台所まわりの土台や柱などの木構造部分は、傷みやすいものですが、 特に湿気が多く、温度も高くなるお風呂まわりは危ないものです。
浴室では、腰の高さくらいまではブロック積みの壁を造ることで、床近くには木材を使わない現場も多いと思いますが、この現場はそれもしていなかったので、浴室の水が、随分と土台や柱に浸み込んできていたようです。かなりひどい状態でした。

写真は、柱が土台にのっている部分のものですが、ほとんど溶けてなくなっているような状態で、太さは1/5くらいになっているでしょうか。ほとんと構造的には役に立っていない状態です。
木材腐朽菌によるためですが、土台も柱も腐り溶けています。
この腐り具合は想定外で、土台、柱の取り換えをしてもらわないといけません。
工期にも影響出てきますし、クライアントにも費用の負担が発生してしまいます。

浴室まわりでは、増築された跡も見られました。コンクリート基礎が削り採られて、浴室が広げられ、ブロックによる基礎が造られています。
今回は、この部分の壁を撤去し、基礎から新設してもらうようにお願いしてあります。

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 解体の手始め

2階建て木造住宅のスケルトンリフォームの現場が始まります。
都内、とりわけ都心部には、建築法規上の制限から建て替えのできない建物があります。
クライアントは、耐震的にも建て替えることを願っていたのですが、それがかなわず、スケルトンリフォームして、耐震補強と気密断熱化することで、地震につよく、暖かく省エネルギーの家に変えていきます。
この日は、工事契約の日でしたが、クライアントご希望の解体着工の日でもあり、工務店さんによる解体の手付け(?)が行なわれました。
和室の柱にすこしだけ鋸目を入れるということで、解体着工を確認しました。