築年数の古い鉄筋コンクリート造は、耐震性不足の問題で取り上げられることが多いのですが、断熱性についても考えられていないものがほとんどです。
規模が小さく日常生活の場となる戸建て住宅では、耐震性よりも断熱性能の低さが改修のポイントになることが多いようです。
ことに、クライアントが高齢になってくると、暑さ寒さが体に堪えるようになり、健康長寿であるためにも、断熱改修が必須となっています。
昨年から、築年数が45年ほどの鉄筋コンクリート造戸建て住宅の部分改修計画が始まりました。
子供達が独立して親世帯だけとなり、高齢化した親のために、キッチンや水回りが集まっているフロアをスケルトンリフォームすることで、寝室を加えて動線がコンパクトな生活空間とするとともに、断熱と室内環境の改修をする計画です。
築年数の古い住宅ではよくあることですが、困ったことに図面がありません。
間取りは、実測することで、寸法なども確認できるのですが、スケルトンリフォームで、間取り変更の計画をするために大切なのは、壁の中、天井の中、床の下、構造体の寸法、排水管やダクトが、どのようにつくられているかがわかることです。
仕上がりの中に隠れている部分がはっきりしていると、設計内容が詰められ、予算も立てやすいのですが、解体してみないとわからないようだと、解体後の変更が必要になることがあり、予算変更につながることもあります。
今回のように築年数が古く、図面のない現場では、少しでも見積前には確認をしておきたくて、工務店さんに手伝ってもらい、生活に問題のない床と天井に穴をあけ、少しだけでも状況を確認させてもらいました。
*左は床のフローリングに穴を開けているところ
床に開けた小さな穴です。これでコンクリートから床の仕上がりまでの寸法がわかり、できることの可能性が確認できます。
コンクリート造に限らず、木造でも鉄骨造でも、図面のない建物のリフォームでは、解体するまでわからない部分が残ります。
設計者もそのリスクについては、慎重に検討して、クライアントと打合せをして、理解いていただいた上で、計画を進めることが大切で、今回もそのように説明をしています。
磯村が参加している建築家31会のブログでも、最近、リフォームの話をまとめています。断熱改修などについての話です。
ぜひ31会のブログも御覧ください。