08
27
 今週は、31会のブログ担当でした。

建築家31会では、ブログの更新をメンバーの持ち回りでしています。
「ばとろぐ」というなまえで、バトンを受けながらメンバーにつなぐブログとして、その時々の話題をお話ししています。
今週は、ギルドデザインの担当で書いてきました。
ギルドデザインではここのところリフォームのお話しが多く、とくに戸建住宅でのスケルトンリフォームが続いています。
最近続いている戸建住宅のスケルトンリフォームは、
「中庭を造る減築リフォーム」「耐震+省エネリフォームの家」「型式住宅のリフォーム」「茶のある家_リフォーム」などがそうです。
なかには、建替をあえてしないのではなく、「建替のできない家」のあります。
建替ができないから古いままでいるのではなく、建替ができなくとも、現在の家族のための現在の住まい方の間取り、現在の住まい方に求められす性能の住宅に造り替えることは可能です。
古い建物では、構造も断熱性能もかなり弱いものですが、スケルトンリフォームをしながら、性能アップが図れます。
古いだけに、思わぬ難題も発生しますが、なんとかなっていくものです。
そんな話しをしています。
よろしかったら、31会のブログ「ぱどろぐ」もごらんください。
僕の書いているのは「建替できない家のリフォーム」です。

08
25
 基礎の補強

「茶の間のある家」の既存基礎は、無筋で、クラックも大きく入っていたこともあり、この機会に新しく打ち直すことになりました。
事前調査で、基礎の立ち上がりが低くく、地面からの湿気の影響を受けやすいことはわかっていたのですが、解体し今まで見えなかったところが見えてくると、基礎の高さと地面の高さが、ほとんど変わらないところが見つかりました。
それくらい既存基礎の高さが低くく、同じ高さで作っては、また湿気による悪い影響を受けてしまいます。
どうせ基礎を打ち直すのなら、基礎の立ち上がりを高くし、床下は、全面コンクリートで造り(ベタ基礎)、基礎の強度を高めつつ床下の湿気を押さえるようにすることとなりました。
そこで、全面的な基礎の打ち直しとなり、先日配筋検査に行ってきました。

上の写真は、基礎配筋前の根伐り状態の確認です。
基礎の立ち上がり高さが変わるので、全体高さを変えないために、既存の土台は撤去し、柱も詰めることとなりました。


配筋検査での主なチェックポイントは、鉄筋の太さ、鉄筋の並ぶピッチ、鉄筋はどこかでつながないといけないのでそのつなぎ方、それに、コンクリートのかぶり厚さ(鉄筋の周りにコンクリートがどんな厚さでついているか)などです。
上の写真は、床部分の鉄筋配筋の様子です。d13の異形鉄筋を200mmのピッチで組んでいます。
下の写真は、基礎梁部分の配筋の様子です。
鉄筋の太さ、ピッチ、つなぎ方には問題はありませんでしたが、かぶり厚さの不足している部分が見つかり、そこは修正をお願いしてきました。

鉄筋コンクリートは、鉄とコンクリートの良いところをお互いに利用しながら、強度を作り出す構造です。かぶり厚が不足するとその強度を十分に発揮できなくなるだけでなく、外部からの影響もうけやすく、鉄筋の酸性化などが早く進むこととなります。
酸性化すると鉄筋が錆びやすく、どんどん劣化も進むことになってしまいます。
我々は建主代理として、住宅という建主の資産がより良いもの、間違いのないものとして引き渡されるように、しっかりとした監理をしなければなりません。
 

08
24
 建築家31会のイベントお知らせ


ギルドデザインが参加している建築家による組合「建築家31会」では、建築家の仕事(主に住宅)を知っていただく、建築家は敷居が高い存在ではないことを知っていただく、建築家との住まいづくりが楽しく価値のあるものであることを知っていただくために、定期的に展示会などをおこなっています。
いつもは、メンバー全員によるイベントなのですが、今回は半数の建築家による模型展+建築相談会を横浜マークイズの東京ガスショールームをお借りして開催します。
ギルドデザインは、来春1月の同じくマークイズイベントに参加の予定で、今回は展示参加していませんが、お時間がありましたら、ぜひ訪ねてみてください。
建築家によるトークショーもおこなっています。気軽に参加していただけるイベンドです。

08
3
 「ろじのさき」の写真がHouzz海外サイトにアップされています。

三たびとなりますが、「ろじのさき」が、また、Houzzの海外サイトの特集記事で、ピックアップされています。

「ろじのさき」は敷地面積13.6坪という狭小敷地に建つ住宅です。
建ぺい率60%のため、建築面積は8.1坪という都市に建つ小さな木造3階建ての住宅です。
多分、海外サイトでも、そんな小さな住宅とは、思いもしないで、写真だけがピックアップされているのだと思いますが。
今度は、イタリアです。特集テーマはどうも「夏を過ごす屋外の小さなスペース」とでもいうような感じです。
イタリア語の読める方、どうぞ、サイトを訪ねて内容をおしえてください。
Houzz イタリアの特集記事はこちらです。
Houzzは、インターナショナルな住宅のリモデルやデザイン・設計のためのプラットフォームです。
たくさんの住宅、建築の写真がアップされていて、一般の方が自身の住宅イメージをまとめる上で、参考になるサイトだと思います。
「ろじのさき」の竣工写真はこちら
「ろじのさき」の現場の様子はこちらからどうぞ。
 

07
27
 基礎補強

解体によって既存の構造状態がはっきりしてきました。
クライアントにも状況を見ていただき、見た目で問題な部分だけでなく、今後、住み続けていただくため、長期的な視点から検討が必要な点についても説明させていただきました。
前回の解体状況のようすはこちらから
当初より、工事費用については、ある程度の含みをみてもらっていますが、基礎の補強は、対策の仕方によって、かなり費用アップとなります。
対策検討に少し時間をいただき、概算とはいえ見積をとって、工事費用を含めて最良となる方法を検討、相談させていただきました。
今回は、建主に決断いただき、既存基礎を残すのではなく、基礎をやり直すこととなりました。

 
基礎解体のためには、骨組みを持ち上げておかなくてはなりません。
曳家さんに見積をお願いしたのですが、結構高額な金額が提示されました。
工務店さんからの提案で、今回は規模の小さな家ということもあり、短期的に持ち上げておくだけの方法で、構造体を浮かせてもらいました。
さあ、これで基礎の打ち替えです。

07
26
 YKKap 体感ショールーム見学

YKKapの品川ショールームがリニューアルして、この6月より、建築・設計関係者向けの「体感ショールーム」として生まれ変わりました。
建築家31会の勉強会として、セミナーとともに体感させていただいてきました。
体感ショールームは、YKKapのものづくりの歴史を紹介する「ガイダンスゾーン」、新商品などの展示がある「商品展示ゾーン」、実際の窓の使い勝手や性能を体感できる「窓の性能体感ゾーン」、セミナーなどの開催できる「コミュニケーションゾーン」で構成され、現在から未来の窓までの商品紹介と性能の違いをわかりやすく、体感できるように展示されています。
このショールームのメインは、最も面積の広い「窓の性能体感ゾーン」です。
窓の基本性の一つ一つをサッシやガラスが変わることで、どれだけ違うのかを体感できるようになっています。
窓の遮音性能では、サッシ枠とガラス構成の違いで、外の音がどのくらい聞こえにくくなるのかが、車の音や子供の遊び声などの生活音が、どれだけ聞こえにくくなるかを聞き試すことができます。
庇一つで陽射しの入り方が変わる様子も知ることができます。
特に、断熱効果の体感ROOMは、5つの断熱性能の違う部屋が、気温0度程度の外気となる部屋に面して作られていてます。
昭和55年基準の部屋と平成25年基準の部屋を比べれば、断熱性能の違いがはっきり体感できるのですが、平成25年基準といえど、この程度なのかと実感させられてしまいました。
建築、住宅の素晴らしさは、これだけで決まるものではなく、むしろ建築家が携わることで生まれる多くの数値では語れない豊かな物事が必要なのですが、これからの住宅・建築では、これらのことは基準として考えておかないといけないことのように、改めて思いました。
最近のギルドデザインの設計でも、この断熱性能は基準の一つとして考えていますが、 体感することで新たに感じ入ることがあったということです。
多くの企業の開発努力により、こういう性能の住宅を、手に入れることができる条件が揃ってきたということです。
このショールームはいわゆるプロ向けで、今のところ2ヶ月先まで予約で埋まっているのだそうですが、是非ともクライアントに体感してもらいたいですね。

07
25
 Houzz の特集記事掲載のお知らせ

Houzzは、インターナショナルな住宅のリモデルやデザイン・設計のためのプラットフォームです。
たくさんの住宅、建築の写真がアップされていて、一般の方が自身の住宅イメージをまとめる上で、参考になるサイトだと思います。
ギルドデザインもプロ側で登録しているのですが、Houzzメンバーによる特集記事に、写真が使われました。先日、Houzzのドイツで取り上げられましたが、今度は、文字を見ただけでは、どこの国かもわかりませんでしたが、どうもスウェーデンです。
取り上げられた写真は、同じく「ろじのさき」です。
一度露出すると、目につくのでしょうね。
特に「ろじのさき」は、今年初めに「ベスト・オブ・ハウズ デザイン大賞」に選べれていましたから。
読めませんが、Houzzスウェーデンの記事はこちらです。
houze.se
今回は、どうもバルコニーと開口部のデザインについて話しているみたいですね。

07
21
 木造耐火

最近は、木造耐火についての関心が高くなっています。
森林資源の有効利用と森林荒廃を防ぐためにも、木材の利用促進が必要です。
公共施設や商業施設への取り組みには、構造的な強度の検討とともに、耐火性能の向上が欠かせません。
木造耐火については、かなり前からツーバイフォー建築協会木造住宅産業協会といった協会からの限定的な認定仕様というものがありましたが、2〜3年前に国交省より告示による耐火性能仕様が公布され、より一般化してきています。
防火地域での住宅の仕事も多いギルドデザインですので、木造の耐火仕様については、大変関心があり、先日、吉野石膏虎ノ門ビルでの勉強会に行ってきました。

基本的には、石膏ボードによって木部を覆っていくことになるのですが、石膏ボードとして吸水性が少ないことで、もしも雨ざらしとなっても、耐久性の高さが保証されるボードを外部側に使っています。
石膏ボードで包まなければならないとはいえ、木造下地で外壁が作れるということで、仕上表現の可能性は広がりそうです。
吉野石膏さんの虎ノ門ビルは、ショールームとしての商品紹介だけでなく、音響体験もできる施設がありました。

実感しなければわからないことですが、体験した遮音性能が作り出せるというのは驚きであり、魅力的です。
体験した遮音壁のさらに上のレベルでは、下図のようにコンクリート壁80センチ厚に相当する遮音性能の壁というのもあり、さらにこの数倍上のレベルの遮音壁もあります。それらが乾式でできているのは、工事費用としても、かなりローコストに貢献します。シナコンなどの音に対して厳しい環境で、利用があるようです。

ショールームには、石膏ボードがどう作られて、製造段階でリサイクルに取り組んでいるか、製品としてこれまで知っていたもの以外の建材を見ることもできました。
コスト的にメリットのある建材も多そうで、見積調整に役立ちそうな勉強ともなりました。


 
 
 

07
9
 Houzzの特集記事に、写真が取り上げられました。

Houzzは住宅のリモデルやデザイン・設計のためのプラットフォームです。
「ろじのさき」の写真が、Houzzの海外サイトの特集記事で取り上げられました。
記事は、こちら
Kleine Fluchten: 23 traumhaft schöne Hängematten im Freien
ドイツ語みたいで、残念ですが読めません。

07
7
 ボーリング調査

随分と時間が空いてしまいましたが、「敷地7坪の家」では、敷地のボーリング調査を行いました。

設計を進める上で心配していたのが、この場所に杭打ち機が入るかということ。
解体後の敷地測量で、少し敷地形状が変わっただけで、計画建物が入るかどうかを心配していましたが、ボーリング調査をしないと、構造が成り立つかどうかがわかりません。
この辺りは、地盤が悪いことはわかっていて、周辺データからも、杭の支持層は30mはあるのではないかと思われていました。
支持層が深すぎる場合は、深くまで杭を打ち込むために、力の大きな杭打ち機が必要で、敷地の狭いこの場所では、大きな機械の搬入・稼働ができません。
つまり、杭が打てない可能性もあり、 そうなると、鉄骨造での計画は難しくなりかねません。
これから出てくるボーリング調査結果をもとに、構造設計者が判断をしてくれます。ここでは、われわれ意匠設計者は、構造の判断待ちです。
下の写真は孔内水平載荷試験の様子です。

06
28
 シロアリ、腐り

「茶の間のある家」の解体工事が始まりました。
設計の初期段階に天井板を外させてもらって、屋根裏を覗き、畳を上げさせてもらって、基礎周りの様子をみせてもらっていましたが、やはり解体してみると、いつものように、問題点が出てきました。
古い住宅です。昭和43年の棟札が出てきました。48年前の建物です。
耐震のことはもちろんですが、いろんなところが今の造り方と違っています。良いところもありますが、耐久性についてはほとんど考えられていないようです。

屋根の野地板というかザラ板は、今では合板ですが、一応無垢板です。整った板ではないですが、まだしっかりしています。
しかし、元々が和室だったのでしょう、使っている柱が細いために、廻縁取り付き部分の柱の欠き込みが、結構大きく、構造的には心配です。

設計段階で、床下を覗かせてもらった時は、思いの他、痛みが少ないように見えたのですが、やはりかなり痛んでいました。
確認できた1階の和室周りでは、見えていた基礎高さは、地面から15〜20センチくらいはあったのですが、敷地が狭く外壁状況の確認できていない部分では、基礎の立ち上がりも低く、ひどい状態で、柱の根元は無くなっていました。
風通しも悪く、湿った土がほとんど土台近くまで上がってきています。これでは、土台も柱も腐ってしまいますね。

お隣がリフォームした時に敷地境界にコンクリート土間を作っていて、そこの高さは、こちらの床下換気口より高く、ほとんど土台の高さ。
土間コンクリートだったので、土と違って、湿気は少なかったのでしょうか、土台の痛みは少ないようですが、この先は、土台や柱の保証ができません。
お風呂周りを増築したらしい部分では、柱にシロアリにやられた痕が見つかり、
内部も水回り室の間仕切りの土台が、ひどく傷んていました。床下は土のままで、基礎はあっても低いのは問題だったようです。どこの現場でもそうですが、水回りは痛みがひどいですね。
   
そして、基礎のコンクリートも無筋のようです。48年も前では、だいたいそんなものかもしれません。
土台アンカーの位置には、クラックが確認されました。

柱の取り替えはもちろんですが、今後、長く住んでいただくには、基礎についても検討が必要です。予算とともに、施主への説明、今後の計画への再検討が必要です。
「茶の間のある家」の事前調査の時の様子はこちらから。
最近の木造スケルトンリフォームの様子はこちら「耐震+省エネリフォームの家」
 

06
20
 型式住宅のリフォームを検討中

「型式住宅のリフォーム」は、大手住宅メーカーで30年ほど前に建てた住宅のスケルトンリフォームの計画が始まっています。

鉄骨ラーメン構造のボックス型ユニットを工場で製作し、現場で組み上げるという工業化されたこの工法は、高精度で安定的で堅牢な構造体であり、高い耐震性能を持ち合わせている住宅でしたが、30年の経過とともに設備等の更新が必要となりました。
クライアントは、この機会に30年前とは違った今日的な住まい方や、今後の生活を考え、エレベーターの新設や増築、さまざまな可能性を住宅メーカーに望まれていたようですが、なかなか思いにかなった提案がなされず、建築家を探すということに思い至ったそうです。
我々も、型式住宅のスケルトンリフォーム、増築という経験が少なく、困難なことが続いて起こってきていますが、クライアントには、プラン提案を気に入っていただき、住宅メーカーの担当さんと少しづつ可能性を探し、計画を進めています。
型式住宅とは、その会社独自の仕様で大臣認定をとって、建築の許可(確認)を得ている住宅です。それゆえに少し変更することがとてもむずかしい。とりわけ構造部分については、こちらが勝手に手を加えることができません。
住宅は、生活の変化に応じて、増築や減築、間取り変更したりするものです。将来の変更などを考えると、不自由な工法だと言わざるをえませんが、とても素敵なご夫婦が、とても素敵な家具とともの、綺麗に生活されているお住まいです。
建築家として、クライアントのご希望を超える提案により、住まい造りのお手伝いをしていこうと思っています。