03
28
 省エネ計算の結果が出てきました。

「大きな吹抜と木のぬくもりに集う家」は、床下エアコンと蓄熱と輻射熱を有効利用するアクアレイヤーを取り入れた住宅です。

床下を廻る暖気を、スムーズに床下全体に行き渡らせるために、基礎の作り方にも工夫を加えていますが、アクアレイヤーが蓄熱し熱伝導をスムーズにおこなうことで、1階はどこに行っても床暖房が効いているようで、浴室やトイレで寒いと感じることのない住宅です。
2階へは、リビングの吹抜けと階段室の吹抜けを通して暖気は上がりますが、奥の部屋へは、循環ファンによるダクトが暖気の周りを助けます。

延床面積が50坪を超える比較的大きな住宅ですが、床下エアコン2台で、建物全体のどこに行っても暖かい家にしようとしています。
そのためには、断熱性・機密性の高い住宅に仕上げ、小さなエネルギーで実現することが肝要です。

長期優良住宅の認定も取る予定です。省エネ性能を計算しました。

住宅の省エネ基準は、それぞれの地域によって決められており、「大きな吹抜と木のぬくもりに集う家」の地域区分は、5地域です。
基準値は、
1、建物の外壁や屋根、床などからどれだけ熱が逃げるかという数値=外皮平均熱貫流率(UA値)
2、冷房期にどれだけの日射が室内に入って来るかを示す数値=冷房期平均日射取得率(ηAC値)、
3、家全体で使われるエネルギー量の基準値との比較値=一次エネルギー消費量、
長期優良では1、2が、基準値をクリアしていることが必要ですが、今回は、3も加えて、ZEH住宅との比較をしてみました。

外皮平均熱貫流率(UA値)は、基準値0.87W/(m2・K)以下に対して、0.50W/(m2・K)
冷房期平均日射取得率(ηAC値)は、3.0以下に対して、1.6
一次エネルギー消費量では、0.78で、削減率は22%でした。

長期優良住宅の基準からすると、かなり良い数値が出ています。ZEH基準もクリアしています。
今回は、いつもおこなっている断熱気密の屋根部分の厚みを少し増して、大きめの窓には樹脂サッシを使っています。
普段の断熱仕様と、それほど大きく変えていないのですが、計算をしてみると、なかなかの数値が出てきました。普段の仕様でも、十分に省エネ住宅を達成できていること、少し手を加えれば、ZEH(ネット ゼロ エネルギー ハウス)レベルになることが確認できました。

03
24
 基礎のコンクリート打設と現場打合せ

お手伝いしているつくばの特別養護老人ホームの現場打合せに行ってきました。

木造の平屋ですが、建築面積が1200㎡を超えているので、基礎の面積は、なかなかの大きさです。
建設会社は、木造もよくなさっている地元では大手のゼネコンですので、現場打合せの準備も行き届いていて、現場での意匠、設備それぞれの担当者同士の打合せから、施主打合せまで、スムーズに完了しました。

この日の現場は、基礎の立ち上がり天端の均しです。
基礎の天端には、土台をのせて、柱を立てます。
基礎の天端が凸凹していると、水平に敷かれる土台が基礎と密着せず、建物の荷重をしっかりと基礎に伝えにくくなります。
特に、この現場は基礎断熱なので、床下は断熱的には室内側です。
基礎天端と土台にできるだけ隙間がないように、基礎天端は平らに均しておく必要があります。
さらに、土台を敷く前には、気密性を上げるため、パッキンをかまします。

昔は、左官屋さんが、鏝を使って、モルタルの天端均しをしたものですが、いまはレベラーという水のようなモルタルを使って、天端の水平を作ります。
写真は、職人さんがレベラーを流しているところです。

現場打合せの帰りに、少し雨が降ってきました。
せっかくレベラーで均した天端が荒れてしまったのではないかと、少し心配しながらの帰途でした。

03
13
 JAS材を使うことの勉強会に行ってきました。

建築材料に使われる規格としてのJIS(日本工業規格だと思っていたのですが、昨年から日本産業規格に変わったらしい)は、とても多くの建材の基準になっています。

一般の方々は、あまりご存知ないのではないかと思いますが、木の柱や梁材などの構造材や内装などに使う造作材などの木製品にとっては、JAS(日本農林規格)という規格があります。
最近は、電車内の吊広告だけでなく、テレビCMも流れているので、ご存知の方もいるかもしれません。
柱や梁の強度、含水率などを機械的に測定することで、安定した品質の木材を供給するための規格ですが、日本の林業、製材業、材木業など、旧態依然とした慣習がまだまだ残っていて、なかなかJASという制度が使われていないのが現状のようです。

公共建築では、JAS認定品であることを求めることが多いようですが、民間の木造建築、特に木造住宅における構造材では、一般的な木材強度で、十分に足りることがほとんどです。
構造の詳細設計をするギルドデザインの木造住宅でも、特別な部分の木材を除いて、ほとんど強度指定をしなくても、必要な耐震強度を満たすように設計しています。
一般品の木材の方が、価格は安く、普通の工務店さんでも手に入れやすいからです。

JAS認定製材所となるためには、測定機器の購入や定期的な査察・報告など、製材所にとって、経費が高額となるので、どうしてJAS規格品の価格が高くなってしまいます。

価格だけを考えると安価な輸入木材や未認定材を使いがちで、JAS材を敬遠してしまいますが、JAS材には、もう一つ大きな使命もあるようです。
これからの森林管理、森の資源を永続的に良好な状態で、保全していくためには、JAS規格のことを一度考え直すことが、必要なようなのです。
世界的なFSC(森林会議協議会)や、SGEC(国際森林認証制度)など、循環的な環境保全のためのシステムに対しての日本の取り組みは、かなり遅れています。
JAS材を普及させることが、森林の徹底した管理への期待につながるようです。

世界環境としての森林というと、大きな話になりますが、我々の設計する小さな住宅でも、エネルギー消費を抑え、心地よい室内環境の住まいづくりの考え方は、そことつながっていると思っています。
微力ではありますが、住まいづくりを通しても、次の世代につなげていきたいこの環境を守っていく一助となれば、素晴らしいと思っています。