今ある和室は、元々は客間としてお考えだったようですが、もう泊まっていかれるような来客もないようで、もっぱら奥様の衣装部屋となっているようです。
今回のスケルトンリフォームでは、この部屋の使い方の検討を重ねてきました。
着物をはじめとした衣類の収納と、和装のための着替えの部屋が主な用途なのですが、仏壇を置いておく部屋であり、茶道のお稽古もしてみたい、お持ちの捶撥も使ってみたいといくつものご要望が残り、結果として、少し欲張りですが、かなり多用途な炉のある部屋に造り変えることになりました。
でも、和室とは、そもそもそういう使い方をしてきたものですね。
収納がメインな部屋ですから、襖収納が向かい合い、明かり障子の入った一面と仏壇をおく壁が対面する壁の作りをシンプルに、まとめようと考えています。
シンプルな部屋だからこそ、襖紙や引手金物に少しこだわりましょうということで、まずは実物がどういうものなのかを知っていただくために、東京松屋さんにお邪魔してきました。
まずは襖紙選びからで、うっすらと小紋が刷られた唐紙や織目がうっすらと感じられる絹絓もの、さらに、紙質の良い無地のものなどを見ていただき、最終的には、繊維の少し浮き出る無地の実物を襖に当ててもらい、決めていただきました。
引き手選びも、楽しい時間となりました。
基本的には衣裳部屋のような使い方にありそうなので、引き手もシンプルでと思っていましたが、少し遊ぼうということになり、伝統的ではありながら、桂離宮に使われているような意匠性の高いものをいくつか見ていただきました。
無地の襖紙を使った襖と障子で囲まれた部屋ですが、小さな引き手に遊びごごろのある部屋になりそうです。