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 蓄熱薪ストーブ勉強会の2

蓄熱ストーブの勉強会で、遠赤外線についても教えてもらいました。
室内温熱環境を考えるにあたって、 最近話題になっている輻射熱の話でもあります。

蓄熱薪ストーブは、内部に蓄熱材を蓄えているのですが、クラッディング(外装材)も蓄熱材で覆われています。
蓄熱材として使われるのは、天然石やセラミックです。
天然石やセラミックには、その構成物に酸化化合物、 酸化鉱物が多く含まれていて、その酸化物の働きにより、天然石やセラミックは、遠赤外線の良い吸収体であるとともに、良い放射体ともなるのだそうです。
蓄熱ストーブも鋳物ストーブもどちらも遠赤外線は出しています。ただ、燃焼時の表面温度が違うために、放射する遠赤外線の波長が違います。
遠赤外線は、3μm〜1000μmの長さの波長を持つ電磁波で、波長には、幅があります。
このうち、人にとって心地よい温度と感ずる波長というのは、8μm〜14μmで、この波長を出す表面温度というのが、90度以下なのだそうです。
蓄熱ストーブというのは、ガラス表面こそ250度くらいにあがるものの、多量の天然石やセラミックを蓄熱体として使うことで、外装部を90度程度の温度となるように、薪の燃焼から発生する熱量を閉じ込め、ゆっくりと放熱するストーブということです。
その熱は、空気を温めるのではなく、直接人に届くような熱エネルギー(遠赤外線)にもなるということです。
表面が高温となるストーブは、遠赤外線を輻射熱として飛ばしつつも、多くの熱エネルギーは、対流熱として空気を温めるのに使われ、薪が燃焼している間は熱いのですが、燃焼が終わると、急激に冷えていくことになります。
どのストーブが良いかということとなると、使う環境、条件によるのですが、すくなくとも、1回の燃焼で、長く適温を保つことができる蓄熱薪ストーブの省エネルギー性は、かなり高いということです。
下の写真は、勉強会で体験させてもらった遠赤外線の実験の様子です。

ガスコンロと、コンロによって熱せられた天然石が置いてあり、その右にファンがあり、横から風邪が送れるようになっています。
火のついてコンロも熱せられた石も、その上に手をかざすと熱く感じます。
どちらも熱が上昇してきているのですが、横から風を送ると、コンロからの熱は、吹き飛ばされて、かざした手に熱気が感じられなくなります。
それに対して、石の上にかざした手には、熱気が感じられます。
コンロの炎からの熱が、空気の対流熱であり空気が飛ばされれば、熱を感じなくなるのに対して、石からの熱は、遠赤外線の輻射熱(電磁波)で、輻射熱が空気を介在しないで熱を伝えているということないなります。
薪エネルギーの多くを蓄熱して、遠赤外線として利用する蓄熱ストーブは、省エネにおいては、とても有効そうです。
しかし、この勉強会では話が出ませんでしたが、少し勉強してみると、輻射熱、遠赤外線というのは、扱いの難しいエネルギーでもあるようです。
まだまだ、勉強することはたくさんありそうです。

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 蓄熱薪ストーブの勉強会の1


ギルドデザインでも薪ストーブや暖炉のある家を何軒が造っていますが、環境先進国であるヨーローッパの国々では、薪ストーブについても新たな基準が作られ、よりエナルギー効率が高く省エネで、安全な製品が普及しようとしています。
先日、「薪ストーブライフ」を出版している沐日社さんで、蓄熱薪ストーブの勉強会があったので、参加してきました。
講師は、スイスの薪ストーブ会社「TONWERK LAUSEN社」の日本代理店である「青い空」の小川さんが、愛知県より来てくださっていました。

日本は、「暖房」という考え方において、かなり後進国のようです。
いまだに室内で暖房機器を燃焼させて、ポイントで温めるような採暖という考え方が、大半です。
室内で燃焼させれば、空気が汚れ、新鮮空気の取り込みが必要になります。それは、外気=冷気を室内に入れなければならないということです。
韓国では、オンドルという床暖房がありますが、これは室外で燃焼させた暖気が床を巡るものです。暖房による室内換気の必要性はないことになります。
薪ストーブ同じようなもので、室内燃焼型で、日本では、鋳物製の薪ストーブが大半です。
鋳物製の薪ストーブといっても、ヨーロッパや北アメリカからの輸入品で、燃焼効率や操作のしやすさなどは、かなり良いものだと思っていました。(確かに、古いものとは比べられないほどの高性能でしたから。)
これからの新しい基準のなかでは、単なる鋳物性は時代遅れになりそうです。
住宅の高気密高断熱化、エネルギー利用効率強化が進むなか、薪ストーブも開放型から気密性を高めて、給気をどれだけコントロールするかへ移り、さらなる省エネ化が求められているようです。
そのなかで注目されているのが、蓄熱薪ストーブということです。

これまでの薪ストーブは、外装の表面温度が上がり、対流熱によって室温を上げるような作りになっていました。
表面温度は、燃えている間、必要以上に熱くなるのですが、消えてしまうと暖かさもなくなっていくので、薪を連続的に焼べる必要がありました。
対して、蓄熱型は燃焼による熱を、ストーブ内部の蓄熱材の蓄え、ゆっくりと放熱する仕組みを持っています。1回の薪の燃焼で、短いもので4時間、長いもので24時間も放熱するのだそうです。
ストーブ表面温度は、燃やしたときには上がるものの、90度前後に抑えることで、人体にとって快適となる遠赤外線を放出するということです。
 

 
蓄熱型と限ったわけではないと思いますが、薪ストーブの扉周りの機密性を高めるためのパッキン部分の詳細です。
専用ダクトから給気をおこない、空気のコントロールをしないと燃焼効率に問題が出てしまいます。
小川さんは10年も使っていても、このパッキンは痛んでいないとのことです。